[判決]ごみ収集 – ごみ等収集運搬委託契約差止め等請求 – 平成20年 [地裁] (行ウ) 第170号
ごみ収集
ごみ等収集運搬委託契約差止め等請求
平成20年(行ウ)第170号
平成20年(ワ)第12144号
提訴 2008年 9月17日
判決 2013年 4月26日 判決文(PDFファイル)
控訴 2013年 5月8日 平成25年(行コ)第97号
提訴 2008年 9月 17日
訴 状
平成20年9月17日
大阪地方裁判所 御中原告訴訟代理人 弁護士 井 上 善 雄
同 豊 島 達 哉
同 西 浦 克 明〒574-0024 大阪府大東市泉町二丁目7番18号
原 告 光 城 敏 雄〒541-0041 大阪市中央区北浜一丁目2番2号 北浜プロボノビル
平和法律事務所(送達場所)
電 話 06-6202-5050
FAX 06-6202-5052
上記原告訴訟代理人
弁護士 井 上 善 雄〒530-0047 大阪市北区西天満三丁目4番5号 西天満ワークビル401号
豊島達哉法律事務所
上記原告訴訟代理人
弁護士 豊 島 達 哉〒530-0047 大阪市北区西天満五丁目9番3号 アールビル本館10階
安富共同法律事務所
上記原告訴訟代理人
弁護士 西 浦 克 明〒574-8555 大東市谷川一丁目1番1号
被告 大東市長 岡本 日出士
同所被告 大東市代表者市長 岡本 日出士ごみ等収集運搬委託契約差止め等請求事件(住民訴訟)
訴訟物の価格 1,600,000円 及び 150,000円
ちょう用印紙額 15,000円(13,000円+2,000円)請求の趣旨
1 被告大東市長は、平成20年度のごみ等収集運搬業務に関して公金を支出し、契約を締結若しくは履行し、又は債務その他の義務を負担してはならない。
2 被告大東市長は、岡本日出士に対し、4億0200万円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。
3 被告大東市は、原告に対し金15万円を支払え。
4 訴訟費用は被告の負担とする。 との判決を求める。
請求の原因
第1.当事者
1 原告は、大阪府大東市の住民である。
2 被告大東市長は、市の執行機関であり、地方自治法(以下「法」いう。)により、住民訴訟の被告となるものであり、市に損害を与えたものに対し損害賠償請求をなすべき義務を負っている。岡本日出士は、平成12年5月5日から現在まで大東市長の職にある。 なお、市の支出の原因となるべき契約その他の行為(支出負担行為。法232条の3)及び支出命令(同法232条の4第1項)は、いずれも市長の権限事項である(同法149条2号、6号)
第2.本件ごみ等収集運搬業務委託契約の締結
1 大東市では、昭和38年から45年間も、一定業者とごみ等収集運搬業務委託契約を締結して、同業者にごみ等の収集運搬業務を委託し委託料を支払ってきた。
2 平成20年度においても、被告大東市長は、ごみ等の収集運搬業務について、随意契約の方法により、有限会社山本組、船本悟及び有限会社堤衛生の3者との間で、家庭系ごみ(可燃ごみ、粗大ごみ)及び事務系ごみにつき委託金額8億2880万2082円、資源ごみ(空き缶 ・空きビン、ペットボトル、プラスチック製容器包装)につき委託金額2億6549万5640円とする各業務委託契約(以下「本件委託契約」という。)を締結した。
第3.本契約締結の違法性
1.しかしながら、被告大東市長がなした本件委託契約の締結は、次のとおり、法令の規定に違反してなした支出負担行為(法232条の3)である。
2.すなわち、法234条1項は「売買、賃借、請負その他の契約は、一般 競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。」とし、同条2項は「前項の指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる。」と定めていることから、法は、普通 地方公共団体の締結する契約については、機会均等の理念に最も適合して公正であり、かつ、価格の有利性を確保し得るという観点から、一般 競争入札の方法によるべきことを原則とし、それ以外の方法を例外的なものとして位 置づけていると解される。
3.また、地方自治法施行令(以下「令」という。)167条の2第1項は、上記法の趣旨を受けて、「随意契約の方法によることができる場合は、次の各号に掲げる場合とする。」と定め、6つの場合をあげていて、これが制限列挙にあたることは明らかであり、これらの場合に限定して随意契約の方法による契約の締結を許容したものと解することができる。
4.しかるに、本件委託契約は、上記各号のいずれにも該当しないので、被告大東市長が、本件委託契約を随意契約の方法により締結したことは、上記法令に違反する。 そして、被告大東市長は、本件委託契約を締結するにあたり、少なくとも市長として払うべき相当な注意義務を怠ったものと言わざるを得ない。 従って、被告大東市長は、大東市が本件委託契約により被った損害を賠償すべき義務がある。
第4.損害及び差止めの必要性
1.大東市に隣接した生駒市との比較において、大東市における適正なごみ収集・運搬委託料は、次のとおり6億9200万4348円と算定される。
① 生駒市と大東市の人口比率(平成20年7月30日現在)
生駒市:大東市=118,114人:128,653人=92:100
② 生駒市におけるごみ収集委託料の推移
平成18年度 決算額 650,253,759円
平成19年度 予算額 674,267,000円
平成20年度 予算額 636,644,000円
③ 人口比による算定額
上記過去3年間の生駒市のごみ収集委託料のうち、最も少ない平成20年度予算額を大東市の人口比率に当てはめて計算すると、6億9200万4347円となる。
636,644,000円×100/92=692,004,347円2.実際の大東市における平成20年度の本件委託契約金額は、10億9429万7722円であるので、上記生駒市の委託料から人口比率で算定した適正な委託料6億9200万4347円を差し引くと、差額は4億0229万3375円となる。 そして、この差額4億0200万円が、違法な本件委託契約の締結により大東市の被った損害と考えられる。
3.また、随意契約の方法による本件委託契約の締結については、すでに市内部の決裁がなされており、このまま放置するときには、同契約が締結され、同契約に基づき委託料等の公金が支出されてしまうことは確実であるので、早急にこれを差し止める必要がある。
第5.監査結果の不法
1.原告は、平成20年7月30日付で本件委託契約について住民監査請求をなし、同年8月20日付で、市の裁量 判断を違法・不当とする理由あるいは事実を明確に示しているとはいえず請求の要件を欠くとして、却下の決定通 知を受けた。
2.上記監査請求についての結果通知においては、随意契約の締結について、最高裁昭和62年3月20日判決の判旨を引用しているが、同判決の事案は、ごみ焼却炉建設工事の請負契約に関するものであり、ごみ等の収集・運搬の委託契約に関する本件とは明らかに事案を異にする。
3.上記判例の事案のようなごみ焼却炉は、複雑かつ大規模な施設の建設を目的とするものであり、施設自体の品質、機能、工事価格ばかりでなく、建設工事の遂行能力や施設が稼働を開始した後の保守点検態勢といった点の考慮から、契約の相手方の資力、信用、技術、経験等その能力に大きな関心を持ち、これらを熟慮した上で特定の相手方を選定し、その者との間で契約を締結するのが妥当であると考えられる 従って、このような施設の建設請負工事については、昭和62年以前においては、令167条の2第1項1号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当すると判断したことに一定の合理性が認められるといえる。しかし、昨今では、ごみ消却施設についてもほぼ競争入札が行われるのが現状である。
4.しかし他方、本件委託契約にかかるごみ等の収集・運搬については、特別 の技術、経験を要するようなものではなく、業者によってその遂行能力に格別 差異があるものとも考えられない。 そのような業務についての委託契約の締結は、令167条の2第1項で定められた場合には該当せず、原則どおり競争入札によって契約の相手方を選定した上で行うべきものであって、随意契約の方法によることは明らかに違法である。
5.以上のような本件委託契約締結の違法性は、監査委員が原告に意見陳述の機会を与え、又は釈明を求めるなどして充分に調査・審理を尽くせば当然判明することである。 そもそも監査委員は、原告の監査請求を端緒として、その内容にわたり調査して審理を尽くすべき義務を負っている。そのような調査・審理を尽くさずに、ただ単に「請求人の主張には、その裁量 判断の違法・不当とする理由あるいは事実を明確に示しているとはいえず、請求の要件を欠くものである」などとして請求を却下したのは、監査委員自ら住民監査請求制度を無力化するものであり、任務懈怠ないし職権濫用とさえ言いうる。
第6.大東市に対する国家賠償請求
1.第5で述べたとおり、監査委員の手続無視や任務懈怠・職権濫用によって、原告は、監査委員によって本件委託契約締結の違法が是正されるという請求者市民としての期待権ないしその利益を裏切られただけでなく、請求却下としていわば「門前払い」をされたことで原告は侮辱され精神的苦痛を受けた。 これは、国家賠償法1条にある2名の監査委員とその部下である監査部局の行為による原告への不法行為であり、原告は、被告大東市に対し慰謝料を請求する権利がある。 (そして、本件は同法1条2項により、大東市が監査委員らに求償権を有する事案である。)
2.上記監査委員らの不法行為による損害は、慰謝料として10万円は下らない。また、本来監査委員がその職務を正当に行っていれば不要であった本件住民訴訟及び国家賠償請求訴訟に要する費用として弁護士費用相当の損害は5万円を下らない。
第7.以上より、被告大東市長は、本件委託契約にかかる平成20年度のごみ等収集運搬業務に関する公金の支出、契約の締結若しくは履行、又は債務その他の義務の負担を差止めるとともに、岡本日出士に対し、前記損害金額4億0200万円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から民事法定利率年5パーセントの割合による遅延損害金の支払いを請求するべき法律上の義務を負っており、また、被告大東市は、原告に対し国家賠償法1条に基づく損害賠償として金15万円の支払義務を負っているので、本訴請求に及ぶ次第である。
証 拠 方 法
甲第1号証 住民監査請求書
甲第2号証 住民監査請求について(通知)添 附 書 類
1 訴訟委任状 1通
2 甲号証写し 各2通
訴状訂正 2008年 9月 29日
訴状訂正申立書
平成20年9月29日
大阪地方裁判所 御中
原告訴訟代理人 弁護士 井 上 善 雄
同 豊 島 達 哉
同 西 浦 克 明上記当事者間の頭書事件につき、次のとおり訴状の訂正を申立てます。
請求の趣旨
1 被告大東市長は、平成20年度のごみ等収集運搬業務に関して締結した下記各業務委託契約にかかる公金を支出してはならない。
記
(1) 委託期間 平成20年4月1日から平成21年3月31日まで
委託内容 ごみ等収集運搬業務
(1) 家庭系ごみ(可燃ごみ、粗大ごみ)(2)事業系ごみ
委託地域 大東市全域
委託金額 828,802,082円(消費税及び地方消費税を含む)
委託先 (1) 有限会社山本組
(2) 船本 悟
(3) 有限会社堤衛生
(2) 委託期間 平成20年4月1日から平成21年3月31日まで
委託内容 ごみ等収集運搬業務
資源ごみ(空き缶・空きビン、ペットボトル、プラスチック製容器包装)
委託地域 大東市全域
委託金額 265,495,640円(消費税及び地方消費税を含む)
委託先 (1) 有限会社山本組
(2) 船本 悟
(3) 有限会社堤衛生2 被告大東市長は、岡本日出士に対し、4億0200万円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。
3 被告大東市は、原告に対し金15万円を支払え。
4 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。
請求の原因
第1.当事者
1 原告は、大阪府大東市の住民である。
2 被告大東市長は、市の執行機関であり、地方自治法(以下「法」いう。)により、住民訴訟の被告となるものであり、市に損害を与えた者に対し損害賠償請求をなすべき義務を負っている。岡本日出士は、平成12年5月5日から現在まで大東市長の職にある。
なお、市の支出の原因となるべき契約その他の行為(支出負担行為。法232条の3)及び支出命令(法232条の4第1項)は、いずれも市長の権限事項である(法149条2号、6号)第2.本件ごみ等収集運搬業務委託契約の締結
1 大東市では、昭和38年から45年間も、一定業者とごみ等収集運搬業務委託契約を締結して、同業者にごみ等の収集運搬業務を委託し委託料を支払ってきた。
2 平成20年度においても、被告大東市長は、ごみ等の収集運搬業務について、随意契約の方法により、下記のとおり、有限会社山本組、船本悟及び有限会社堤衛生の3者との間で各業務委託契約(以下「本件委託契約」という。)を締結した。
記
(1) 委託期間 平成20年4月1日から平成21年3月31日まで
委託内容 ごみ等収集運搬業務
(1)家庭系ごみ(可燃ごみ、粗大ごみ)(2)事業系ごみ
委託地域 大東市全域
委託金額 828,802,082円(消費税及び地方消費税を含む)
委託先 (1) 有限会社山本組
(2) 船本 悟
(3) 有限会社堤衛生(2) 委託期間 平成20年4月1日から平成21年3月31日まで
委託内容 ごみ等収集運搬業務
資源ごみ(空き缶・空きビン、ペットボトル、プラスチック製容器包装)
委託地域 大東市全域
委託金額 265,495,640円(消費税及び地方消費税を含む)
委託先 (1) 有限会社山本組
(2) 船本 悟
(3) 有限会社堤衛生第3.本契約締結の違法性
1.しかしながら、被告大東市長がなした本件委託契約の締結は、次のとおり、法令の規定に違反してなした支出負担行為(法232条の3)である。
2.すなわち、法234条1項は「売買、賃借、請負その他の契約は、一般 競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。」とし、同条2項は「前項の指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる。」と定めていることから、法は、普通 地方公共団体の締結する契約については、機会均等の理念に最も適合して公正であり、かつ、価格の有利性を確保し得るという観点から、一般 競争入札の方法によるべきことを原則とし、それ以外の方法を例外的なものとして位 置づけていると解される。
3.また、地方自治法施行令(以下「令」という。)167条の2第1項は、上記法の趣旨を受けて、「随意契約の方法によることができる場合は、次の各号に掲げる場合とする。」と定め、6つの場合をあげていて、これが制限列挙にあたることは明らかであり、これらの場合に限定して随意契約の方法による契約の締結を許容したものと解することができる。
4.しかるに、本件委託契約は、上記各号のいずれにも該当しないので、被告大東市長が、本件委託契約を随意契約の方法により締結したことは、上記法令に違反する。
そして、被告大東市長は、本件委託契約を締結するにあたり、少なくとも市長として払うべき相当な注意義務を怠ったものと言わざるを得ない。
従って、被告大東市長は、大東市が本件委託契約により被った損害を賠償すべき義務がある。第4.損害及び差止めの必要性
1.大東市に隣接した生駒市との比較において、大東市における適正なごみ収集・運搬委託料は、次のとおり6億9200万4348円と算定される。
(1) 生駒市と大東市の人口比率(平成20年7月30日現在)
生駒市:大東市=118,114人:128,653人≒92:100(2) 生駒市におけるごみ収集委託料の推移
平成18年度 決算額 650,253,759円
平成19年度 予算額 674,267,000円
平成20年度 予算額 636,644,000円(3) 人口比による算定額
上記過去3年間の生駒市のごみ収集委託料のうち、最も少ない平成20年度予算額を大東市の人口比率に当てはめて計算すると、6億9200万4347円となる。
636,644,000円×100/92=692,004,347円2.実際の大東市における平成20年度の本件委託契約金額は、10億9429万7722円であるので、上記生駒市の委託料から人口比率で算定した適正な委託料6億9200万4347円を差し引くと、差額は4億0229万3375円となる。
そして、この差額4億0200万円(100万円未満は切捨て)が、違法な本件委託契約の締結により大東市の被った損害と考えられる。3.また、随意契約の方法による本件委託契約については、すでに平成20年4月1日付けで締結がなされており、このまま放置するときには、同契約に基づき委託料等の公金が支出されてしまうことは確実であるので、早急にこれを差し止める必要がある。
第5.監査結果の不法
1.原告は、平成20年7月30日付で本件委託契約について住民監査請求をなし、同年8月20日付で、市の裁量 判断を違法・不当とする理由あるいは事実を明確に示しているとはいえず請求の要件を欠くとして、却下の決定通 知を受けた。
2.上記監査請求についての結果通知においては、随意契約の締結について、最高裁昭和62年3月20日判決の判旨を引用しているが、同判決の事案は、ごみ焼却炉建設工事の請負契約に関するものであり、ごみ等の収集・運搬の委託契約に関する本件とは明らかに事案を異にする。
3.上記判例の事案のようなごみ焼却炉は、複雑かつ大規模な施設の建設を目的とするものであり、施設自体の品質、機能、工事価格ばかりでなく、建設工事の遂行能力や施設が稼働を開始した後の保守点検態勢といった点の考慮から、契約の相手方の資力、信用、技術、経験等その能力に大きな関心を持ち、これらを熟慮した上で特定の相手方を選定し、その者との間で契約を締結するのが妥当であると考えられる
従って、このような施設の建設請負工事については、昭和62年以前においては、令167条の2第1項1号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当すると判断したことに一定の合理性が認められるともいえる。しかし、昨今では、ごみ焼却施設についてもほぼ競争入札が行われるのが現状である。4.しかし他方、本件委託契約にかかるごみ等の収集・運搬については、特別 の技術、経験を要するようなものではなく、業者によってその遂行能力に格別 差異があるものとも考えられない。
そのような業務についての委託契約の締結は、令167条の2第1項で定められた場合には該当せず、原則どおり競争入札によって契約の相手方を選定した上で行うべきものであって、随意契約の方法によることは明らかに違法である。5.以上のような本件委託契約締結の違法性は、監査委員が原告に意見陳述の機会を与え、又は釈明を求めるなどして充分に調査・審理を尽くせば当然判明することである。
そもそも監査委員は、原告の監査請求を端緒として、その内容にわたり調査して審理を尽くすべき義務を負っている。そのような調査・審理を尽くさずに、ただ単に「請求人の主張には、その裁量 判断の違法・不当とする理由あるいは事実を明確に示しているとはいえず、請求の要件を欠くものである」などとして請求を却下したのは、監査委員自ら住民監査請求制度を無力化するものであり、任務懈怠ないし職権濫用とさえ言いうる。第6.大東市に対する国家賠償請求
1.第5で述べたとおり、監査委員の手続無視や任務懈怠・職権濫用によって、原告は、監査委員によって本件委託契約締結の違法が是正されるという請求者市民としての期待権ないしその利益を裏切られただけでなく、請求却下としていわば「門前払い」をされたことで原告は侮辱され精神的苦痛を受けた。
これは、国家賠償法1条にある2名の監査委員とその部下である監査部局の行為による原告への不法行為であり、原告は、被告大東市に対し慰謝料を請求する権利がある。
(そして、本件は同法1条2項により、大東市が監査委員らに求償権を有する事案である。)2.上記監査委員らの不法行為による損害は、慰謝料として10万円は下らない。また、本来監査委員がその職務を正当に行っていれば不要であった本件住民訴訟及び国家賠償請求訴訟に要する費用として弁護士費用相当の損害は5万円を下らない。
第7.以上より、被告大東市長は、本件委託契約にかかる平成20年度のごみ等収集運搬業務に関して締結した委託契約にかかる公金の支出を差止めるとともに、岡本日出士に対し、前記損害金額4億0200万円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から民事法定利率年5パーセントの割合による遅延損害金の支払いを請求するべき法律上の義務を負っており、また、被告大東市は、原告に対し国家賠償法1条に基づく損害賠償として金15万円の支払義務を負っているので、本訴請求に及ぶ次第である。
以上