[勝訴]駐車場選定審査委員会 – 公文書部分公開決定取消請求 平成23年 [地裁] (行ウ) 第108号

駐車場選定審査委員会
公文書部分公開決定取消請求事件

平成23年 [地裁](行ウ) 第108号

提訴 2011年6月8日
判決 2012年10月24日 勝訴判決文(PDFファイル)
判決 2013年4月26日 高裁判決文(PDFファイル)

訴状

平成23年 6月 8日

〒574-0024
大阪府大東市泉町二丁目7番18号
原告        光城 敏雄
(送達場所)携帯電話 090(9990)6527
電話 072(875)4829
ファクス 020(4623)1016

〒574-8555
大阪府大東市谷川一丁目1番1号
被告  大東市
同代表者兼処分行政庁  大東市長 岡本 日出士

請求の趣旨

1、処分行政庁が平成23年 1月 13日付けで原告に対してした公文書部分公開決定(大東交第683号)のうち、
非公開部分を取り消す。
2、訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

請求の原因

1、当事者
原告は肩書地に居住する大東市民である。
被告は大東市の市長であり、同市の「大東市情報公開条例」(以下本件条例という)の実施機関である。

2、文書公開請求
原告は、平成22年 12月 22日に、「指定管理者制度における『大東市立住道駅中央自動車・自転車駐車場(第2期)および大東市立住道駅前自動二輪車等駐車場』での選定審査委員会の役職と委員名と会議録」の情報公開請求をした。

3、本件処分
被告は平成23年 1月 13日に部分公開決定を行ない、公開しないと決定した部分は、
「① 大東市指定管理者選定審査委員会委員名簿中の委員(市外部の委員に限る。)の氏名および連絡先
② 大東市指定管理者選定審査委員会の会議録」です。

4、公開しない理由は、
「① 大東市情報公開条例第7条第1号に規定する個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、またはされ得るもののうち、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるため。
② 大東市情報公開条例第6条第1号に規定する法人、団体または個人の事業者(以下「法人等」という。)に関する情報であって、公開することにより、当該法人等の競争上の地位、財産権その他正当な利益を侵害すると認める相当の理由があると認められるため。なお、本件会議録に係る大東市指定管理者選定審査委員会は、大東市審議会等の公開に関する規程第3条および第4条の規定に基づき非公開として開催したものである。」としています。

5、部分公開決定取消請求の理由
しかし、本件で原告が情報公開請求した情報は、部分公開理由にはまったく該当せず、むしろ積極的に市民に公開すべき情報であります。
また本件部分公開処分は、本件条例の定義であるところの、「この条例は、開かれた市政の実現のため、市の保有する情報を公開することにより、市民の知る権利の保障と市政への参加を推進するとともに、市の市民に対する説明責任を果たすことにより、市民と市との信頼関係を深め、市民主体の市政を実現するものとする。」(本件条例第1条)に反するものでもあります。

6、よって本件処分は違法であるから、その取消を求め本訴に及ぶ。

証拠書類

1、甲第1号証   部分公開決定通知書
2、甲第2号証   部分公開された公文書 「大東市指定管理者選定審査委員会委員名簿」(大東市立
『住道駅中央自動車・自転車駐車場』『大東市立住道駅前自動二輪車等駐車場』

添付書類

1、甲号証写し   各2通

原告  光城敏雄

大阪地方裁判所 御中

平成23年(行ウ)第108号
公文書部分公開決定取消請求事件
原告  光城 敏雄
被告    大東市

準備書面 (1)

平成23年 10月 4日
大阪地方裁判所 第2民事部 合議2係 御中

原告  光城 敏雄

1, 甲2の「委員の氏名」の公開について
なぜ、わざわざ大東道第631号(平成23年8月2日)において、部分公開した旨の「通知書」を郵送してきたか、また、その通知書の書かれている「監査委員からの提出のあった要望書」とはどんなことでしょうか、説明を求めます。
つまり、当所からは「委員の氏名」は「個人に関する情報」なので、非公開であったけれども、監査委員が要望した結果、「委員の氏名」は公開することになったのでしょうか。

2, 甲2の「委員の連絡先」の公開について
確かに甲4に示すように、氏名の公開だけはなされましたが、連絡先の部分にはなにが書かれてあるのかさえわかりません。
それが個人の住所としての連絡先ではなくて、いわゆる勤務先であれば、「個人に関する情報」ではありませんね。三名の行政職員が勤務先の連絡先が書かれてあることで、想定できますので、非公開にする必要がありません。
また、甲4で示した大東市指定管理者選定審査委員会委員会(以下、「本件選定委員会」)には行政職員も加わっていて、氏名、現職と内線電話番号が書かれているということは、仮に被告が懸念するような「選定をめぐって、質問や嫌がらせ、恨み等を受ける可能性」があるならば、「選定事務終了後に選定されなかった団体等」からの選定を巡っての連絡があるはずです。
また、こういうこともいえます。「選定事務終了後に選定されなかった団体等」は元々大東市民のために貢献しようとサービス業務を行おうと指定管理者に申請した団体であります。その方たちが「選定をめぐって、質問や嫌がらせ、恨み等を受ける可能性」などというのは、たいへん失礼で、被害にないのに被害妄想的な被告の主観的な思い込みによる主張で失当であります。
情報公開された学識経験者としての委員の中野雅弘氏は大学教授であるので、例えば、インターネット、ウェブページで検索してみると、甲5の1で示すような連絡先がわかります。外部委員の樋口秀和氏は公認会計士なので、また、同じくインターネット、ウェブページで検索してみると、甲5の2で示すような連絡先がわかります。
3,「本件選定委員会」の会議録の公開について
被告は本件会議録を公開すると、「自由かつ率直な意見交換が出来なくなる」とはいうけれども、それは委員自身の資質の問題であって、会議録の公開性とは関係のないことです。枚方市では「枚方市自動車駐車場指定管理者選定委員会」の会議録はインターネット上のウェブページにも公表(甲6の1,2)していて、世界中からアクセスできて読めて、すぐさま印刷ができます。
それは全4回に亘っての会議録が掲載されています。A4紙サイズで合計、71枚になります。
他市にもネット上での公表は見られますが、全体的に常識的なことなので、ここでは一旦割愛しておきますが、インターネット上の検索サイトであるグーグルで「指定管理者選定委員会 会議録」を検索すると、約 96,800件 もヒットします。
なお、ノウハウについて、まず、ノウハウという言葉の意味について、被告の勘違いを述べます。確かに、工業製品の製作上の特許や販売されている料理の調理方法はノウハウと呼ぶことができるだろう。市民にとっては、指定管理者からより高いサービスの恩恵を受けたいのであり、「サービスの在り方という営業上のノウハウ」は被告の主張つまり、「ノウハウが公開されると、選定対象者のノウハウが第三者の知るところとなり、これが参考とされ、模倣される」との考えとは逆に、市民が恩恵を被るためには競って模倣してほしいところである。

4,「最高得点を取得した団体以外の団体名」の公開について
守口市では二位以下の申請団体の団体名も得点も公開している(甲7)。被告は非公開の理由として「団体間の優劣や個々の団体の評価が一般化し、各団体の今後の競争上の地位を侵害したり、信用を失墜する情報」とは、主観的な思い込みによる主張で失当であります。

5,「本件選定委員会の各委員の採点項目と配点」について
ここでは寝屋川市の例を示すことにしよう。本件選定委員会委員4名の氏名、備考として役職を公開した上に、第1次選考の採点総括表、また、第2次選考総括表を公開(甲8の1,2,3)しています。提出した証拠はいわゆる「北河内」といわれる近隣自治体からの数例だけです。大阪府内や近畿一円、日本中にはたくさんの例があることでしょう。大東市のみが井の中の蛙のように遅れてしまった情報公開制度の運用なのです。
他にも例がありますが、あと何点、提出すればいいですか。

6,情報公開の趣旨とは
本件における公開請求の情報は、被告にとって知られたくない情報であったとしても、公開されることが市民全体にとって公益性、公共性、公表性がより高い情報として認識されれば、当然、公開すべき情報である。
被告にとっては、これまで公開されてこなかったので、隠したいとか、知られたくないという戸惑い、心配する心理は理解できるが、このように過去の慣例、慣習を引きずるか否かは、情報公開訴訟として同じ対峙を繰り返す。

7,情報公開の本来
なお、大阪府大東市総務部総務課が編集した『情報公開事務および個人情報保護の手引』(平成9年10月発行)の1、2頁には、「第1章 情報公開制度 1 情報公開制度の必要性  2 本市における情報公開制度の意義」として、次のような文章が載せられている。


第1章 情報公開制度
1 情報公開制度の必要性
情報公開制度は、行政機関が保有する情報を、市民からの請求に応じて公開することを保障する制度であり、近年、多くの地方公共団体において導入が図られ、国においても、行政改革委員会から情報公開制度要綱案が平成8年末に提出され、法律制定に向け準備が進められています。
これまでは、法令等の規定により公文書等の閲覧、縦覧および公表が義務づけられているもの以外は、行政情報を市民に提供することは、市が市民に知らせたい-市民に知らせることが市にとって都合のよい-情報に限られていましたが、この制度により、情報の公開が市民の権利として保障されることになります。
今日、情報公開制度の制定が進められる背景には、第1に、公務員の汚職や公費の無駄づかいがマスコミを賑わすことが多くみられるように、市民が行政は自分に都合の悪い情報を隠してしまうことが多いと不信感を持つようになり、適正な市政執行を確保するためには、市民が市政に対して監視を行い、市政運営の実態を市民が十分に承知する必要性があると認識されてきたこと。
第2に、民主主義の達成のためには、市民が自らの意思を市政に反映し、市民による市政を実現することが必要であるが、本当の意味での市民参加を実現しようとすれば、市政に係る情報に閲し、市民が適正な判断を行うために十分な情報を承知している必要性があると認識されてきたこと。
第3に、市が保有する情報は、税金等によって取得されたものであり、市民の共有財産というべきものであるから、市民から請求があれば提供するのは、むしろ当然であると認識されてきたことが考えられます。
このような状況の中、市と市民を結びつけ、市民の「知る権利」と市の「説明責任」を明らかにし、市民のための健全な市政を実現するために、情報公開制度の必要性が叫ばれています。

2 本市における情報公開制度の意義
本市においては、「開かれた市政」を市政運営の基本姿勢としてきましたが、最近の情報公開制度の必要性を踏まえ、この基本姿勢の実現のため、市民の「知る権利」
の保障と市の市民に対する説明責任を果たすことを目的とした情報公開制度を創設しました。
大東市情報公開条例により、市民は、必要とする情報を市に対して請求する権利を有することになり、市は、その請求に対する情報を公開する義務を負うことになります。
この権利・義務の関係は、そのまま、市民の「知る権利」と市の市民に対する説明責任に対応しています。適正な「知る権利」の行使により、市民は、本当の意味での市政への参加を達成するための1つの大きな手段を得ることができ、市の市民に対する説明責任の行使は、市民に対して納得できるような施策を進めることと、市民の請求に対して真摯に対応することにより、市民の信頼に応えることにより、市民と市との信頼関係を深め、市民主体の市政の実現につながると考えられます。


上記は条例文ではないけれども、本件条例の制定当時の崇高な本条例の必要性と意義、意味を大東市自身が自信を持って謳っているものである。我々市民は情報公開制度の恩恵を受け、行政をチェック、監視していくことがややできようになってきた。
情報公開がどんどん進められる中で「開かれた市政」として、本請求が認められないと、どの点でどのように「開かれ」ようとしているのかは、理解しがたい。
本件争点はまさに、市民の「知る権利」と「慣例事項」だと考える。
上記引用の平成9年当時ですら、情報公開制度の制定が進められる背景として、第1に、「市民が市政に対して監視を行い、市政運営の実態を市民が十分に承知する必要性」第2に、「本当の意味での市民参加を実現しようとすれば、市政に係る情報に閲し、市民が適正な判断を行うために十分な情報」第3に、「市が保有する情報は、税金等によって取得されたものであり、市民の共有財産というべきものであるから、市民から請求があれば提供するのは、むしろ当然」として、積極的な考え方で、進められてきているはずである。

以上

平成23年(行ウ)第108号
公文書部分公開決定取消請求事件
原告    光城 敏雄
被告    大東市

証拠説明書

平成23年 10月 4日

大阪地方裁判所 第2民事部 合議2係 御中

原告 光城 敏雄

号証 標目 原本

写しの別
作成者 立証趣旨

甲1の1

平成23年1月13日付け

大東交第683号「部分公開決定通知書」

被告

原告が情報公開請求に対しての部分公開決定通知

甲1の2

大東市指定管理者選定審査委員会委員会委員名簿

被告

外部委員の氏名と連絡先が非公開されている

甲2の1

平成23年1月13日付け
大東交第684号「部分公開決定通知書」

被告

原告が情報公開請求に対しての部分公開決定通知

甲2の2

大東市立住道駅中央自動車・自転車駐車場及び大東市立住道駅前自動二輪車等駐車場指定管理者候補者の選定結果について(報告)

大東市指定管理者選定審査委員会委員長 二位以下の団体名が伏されている

甲3の1

平成23年1月13日付け
大東交第685号「部分公開決定通知書」

被告

原告の情報公開請求に対しての部分公開決定通知

甲3の2

「大東市立住道駅中央自動車・自転車駐車場」および「大東市立住道駅前自動二輪車等駐車場」指定管理者
審査採点表

大東市指定管理者選定審査委員会委員長 どの選定審査委員が何点の配点をしたかが伏されている

甲4

平成23年4月8日付け
大東交第73号「部分公開決定通知書」と大東市指定管理者選定審査委員会委員会委員名簿

被告

なぜか外部委員の氏名だけが公開され、連絡先が非公開されている

甲5の1

大学教授中野雅弘氏のインターネット上での紹介

一般財団法人金属系材料研究開発センター(JRCM) 連絡先、所属、研究職歴などが紹介されている

甲5の2

公認会計士樋口秀和氏のインターネット上での紹介

事業者情報 連絡先、所在地、事業内容、産業などが紹介されている

甲6の1

インターネット上、「枚方市自動車駐車場指定管理者選定委員会」を紹介したウェブページ

枚方市 枚方市自動車駐車場指定管理者選定委員会の会議録を簡単にダウンロードできる

甲6の2

平成22年6月11日(金曜日)に開催されました第1回枚方市自動車駐車場指定管理者選定委員会

枚方市 1時間42分の会議録、A4紙で22枚

甲7

指定管理者候補者選定結果通知

守口市 申請した5つの団体すべての評価点、順位がわかる

甲8の1

寝屋川市立市民ギャラリー指定管理者選定委員会設置要綱

寝屋川市 選定委員会設置要綱

甲8の2

寝屋川市立市民ギャラリー指定管理者選定委員会委員名簿

寝屋川市 四名の委員名簿
甲8の3 寝屋川市立市民ギャラリー指定管理者選定委員会における指定管理者選考結果について(報告)

寝屋川市立市民ギャラリー指定管理者選定委員会委員長 第1次選考、また、第2次選考で四名の委員がそれぞれどの団体に何点の点数を与えたかわかる

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