[市民会館工事談合]【地裁】提訴

平成27年(行ウ)第16号
大東市市民会館談合損害等請求事件

訴状(PDFファイル)

訴状

平成27年1月16日

大阪地方裁判所 御中

原告ら訴訟代理人
弁護士 井上善雄
同 弁護士 辻公雄
同 弁護士 豊島達
同 弁護士 西川満喜
当事者の表示

別紙目録記載のとおり
大東市市民会館談合損害等請求事件(住民訴訟)
訴訟物の価格   1,600,000円
ちょう用印紙額     13,000円

 

請求の趣旨

1 被告大東市長は、東坂浩一、西辻勝弘、田中祥生、野口光浩、冨田建設株式会社、株式会社三住建設、株式会社オオヨドコーポレーションに対し、各自金5594万4000円の請求をしないことの違法を確認する。
2 被告大東市長は、東坂浩一、西辻勝弘、田中祥生、野口光浩、冨田建設株式会社、株式会社三住建設、株式会社オオヨドコーポレーションに対し、各自金5594万4000円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

請求の原因

第1.当事者
1 原告らは、いずれも大阪府大東市の住民である。
2 被告は大東市長であり、本件違法な入札により大東市が損害を蒙っているにもかかわらず、その入札の責任者及び関与者に対し、損害賠償の請求を怠っているものである。

第2.本件不法な入札及び請負契約
1.事実関係
(1)大東市は、平成26年5月22日、市民会館2階ホール増築他建築工事請負契約の入札を行った。
その結果、冨田建設株式会社(以下、冨田建設)が2億736万円(税込)で落札し、株式会社オオヨドコーポレーション(以下、オオヨド)と株式会社三住建設(以下、三住建設)は失格となった。
しかし、本件入札の予定価格は1億9200万円(税抜)で、オオヨドは2億4500万円(税抜)、三住建設は2億2164万円(税抜)と予定価格を上回る入札をし、冨田建設は予定価格1億9200万(税抜)とまったく同額の100%で入札したものである。
そして、大東市市長らはこの入札のやり直しをするどころか、同年7月8,9日に特別議会を開き、契約の金額中2億736万円(税込)を2億7972万円(税込)に改める旨の議案を提出し議決させた。
(2)しかしながら、この件は違法、不当である。
市民会館2階ホール増築他建築工事は、今回、事後審査型制限付一般競争入札制度を導入して実行された。この制度は、市内業者は建設工事の種類「建築一式」の総合評定値が700点以上、市外業者は1200点以上と差別されており、市外業者が入札に参加するためには他市には例をみない不当なかなりの高得点差が必要なため、結果的に市内業者しか参加できず、著しい差別による競争入札制度の働かないものになっている。
なおかつ失格となった二業者は予定価格が入札前に公表されているにも関わらず、予定価格より意図的に高額の入札をしてわざと失格となっている。
2.本件入札の違法、契約の不法性(地方自治法234条違反、独占禁止法19条違反)
(1)本件入札は、前記の事実関係のように、入札業者を不当に制限したものになっており、その上で事前に開示された予定価格に応募した競争入札の3社のうち2社が予定価格を上回る入札をしてわざと失格となり、冨田建設に予定価格の100%で落札させるものであった。
およそ競争入札とは、多数の競争者が予定価格より少しでも低額で入札して落札し請け負うことを目的とするものである。冨田建設にしても100%入札するということは実質競争をしておらず、ましてや他のオオヨド、三住建設は予定価格以上で失格となるべく形だけの入札しており競争するものではないので、客観的に冨田建設のみ100%落札するという談合があった。大東市長らはこの談合の成立を誘導容認していたとさえいえる。
(2)また、この談合の主観的立証が大東市にとって立証し得なかったとしても、大東市の企図した競争の入札があったと評価できない。この100%落札の業者と契約することは、正当な入札手続を取らず100%の予定価格で特定業者と随意契約するのと全く同じである。
(3)そもそもこの3者のみによる入札は、①市長個人の関係していた三住建設が指名されていたり、②市外業者が不当に差別されて排除する指名競争入札で、法本来の一般競争入札を排除していたものであるのに、市長の東坂以下副市長西辻勝弘、総務部長田中祥生、契約課長野口光浩(以下、「大東市長ら職員」という。)が冨田建設と契約手続をしたことは不法、不当だった。
(4)大東市では本件を「事後審査型制限付一般競争入札制度に関する要綱」に基づいたとして正当化しようとするが、その要綱が法の予定する正しい競争入札のために働くものならともかく、逆に競争入札を害する方向でのみ利用されている。第8条の「入札者の数が3者に満たない場合は、入札の執行を中止するものとする。」のと同じ状況であるのに、失格2社と100%入札の客観的には談合があったといわざるを得ない入札を強行したのである。
3.地方自治法234条の違反
本件では、2億736万円であったものを大東市長ら職員は、冨田建設との間でこれを2億7972万円に追加工事と称して契約した。しかし、これは結局、正しい競争入札を経て契約をしたものといえず、談合した冨田建設に対し、請負代金を7236万円も上乗せして随意契約したものというべきであり、これは地方自治法234条に違反する。
4.本件の入札、請負契約の加担者、損害賠償責任者
(1)市長個人の東坂浩一は、本件不法な契約について不法行為の最高責任者である。
(2)本件の不法な入札にあたった総務部と同契約課の田中祥生部長、野口光浩課長は、本件談合の存在と不法な入札状況を知りながら入札を成立させたものであり、さらにその落札者という冨田建設と随意契約をしたもので、契約について故意又は重大な過失を有する不法行為者である。
(3)冨田建設ら3入札業者は、本件入札において100%という高額で冨田建設に落札させ契約させようと談合したものであり、大東市に損害を与えた者である。
5.不正入札と不正契約による損害
(1)本件入札は、法の求める競争入札を排除して随意契約したものであり、入札排除、談合による損害は、次のように評価できる。
本件入札の当初予定価格は2億736万円、最低制限価格を1億5502万7520円とされ、74.7%でも受注可能としていた。
(2)また、談合や市長個人以下の癒着がなければ、請負金額を20%以下抑えることも可能で、このような努力をしない随意契約は違法で、その損害は請負代金の20%を下らない。
(3)談合、癒着による損害評価は、民訴法248条によって損害額を認定することの認められる事案であり、自治体の請負契約で談合があった場合は契約書で定められたりして20%の損害賠償規定が定められていることも多い。
(4)以上から、本訴では2億7972万円全額といわなくとも、その20%にあたる5594万4000円の損害が大東市に発生したといえる。

6.監査請求・監査結果
本件については、監査請求段階では違法な契約がなされ取り消されるべきとして2億7972万円の契約金全体を支払う必要がなく、工事の差し止め及び損害金の支払いを求めて平成26年10月27日に監査請求した。
これに対し、監査委員は、本件入札について不当にも調査と判断を回避し、平成26年12月22日に棄却した。その一方で、あまりに勝手な随意契約のためか、発注額の妥当性について大東市長に対し要望している。しかるに、この棄却をしたことは誤っている。
なお、本件では、工事が進行したこともあり、純粋損害金にとどめて請求の趣旨とした。

証拠方法

甲第1号証 住民監査請求書
甲第2号証 監査結果(通知)

添附書類

1 訴訟委任状     1通
2 甲号証写し    各2通

当事者目録

〒574-0024
大阪府大東市泉町二丁目7番18号
原告 光城敏雄 外4名

〒541-0041
大阪市中央区北浜一丁目2番2号 北浜プロボノビル
平和法律事務所
電話 06-6202-5050
FAX 06-6202-5052
上記原告ら訴訟代理人
井上善雄

〒530-0047
大阪市北区西天満6丁目7番4号 大阪弁護士ビル6階606
弁護士法人大手前ノーベル法律事務所大阪事務所
電話 06-6364-4303
FAX06-6364-1694
同  弁護士 辻公雄

〒530-0047
大阪市北区西天満三丁目4番5号 西天満ワークビル401号
豊島達哉法律事務所
電話 06-6316-5656
FAX06-6316-5657
同  弁護士 豊島達哉

〒530-0047
大阪市北区西天満四丁目7番1号 北ビル1号館6階602号室
大阪共同法律事務所(送達場所)
電話  06-6362-9615
FAX 06-6362-5143
同 弁護士 西川満喜

〒574-8555
大東市谷川一丁目1番1号
被告 大東市長 東坂浩一

原告側からの提出書類
原告準備書面1

被告側からの提出書類
被告準備書面2

 

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